通関士資格でフリーランスを考えるときに整理しておきたい現実

通関士試験はフリーランスを目指す人におすすめできる?

本記事は、フリーランスという働き方を否定したり、逆に安易に勧めたりする目的で書いていません。

通関士資格を持つ人がフリーランスを検討する際に、実務経験者の視点から整理しておくべき点をまとめています。

※本記事は一般論と制度・構造の整理を目的としており、すべてのケースに当てはまるものではありません。

カッパくん

退職してフリーランスになったら、通勤の自由度が上がったり、働き方の選択肢が広がるのは事実だよね。

犬くん

ねえ博士、ボクが通関士試験に合格したら、フリーランスになれる? 行政書士や司法書士はフリーランスが多いけど、通関士も士業だよね?

博士

ではこの記事では、通関士資格とフリーランスという働き方を考える際に、どのような点を整理しておく必要があるかを見ていこう。

通関士資格でフリーランスを目指す際に直面しやすい課題

博士

まず押さえておきたいのは、通関士資格は制度上、会社組織で活用されるケースが多い資格だという点じゃ。

通関業を行うには許可が必要

通関士試験をある程度勉強している人は知っているかと思いますが、通関業を営もうとする者は、財務大臣の許可を受けなければなりません。
そして許可の条件は下記のようなものです。

(許可の基準)
第五条 財務大臣は、通関業の許可をしようとするときは、次の基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 許可申請に係る通関業の経営の基礎が確実であること。
二 許可申請者が、その人的構成に照らして、その行おうとする通関業務を適正に遂行することができる能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。
三 許可申請に係る通関業を営む営業所につき、第十三条の要件を備えることとなつていること。
(通関業法第5条)

犬くん

かけだしフリーランスに「確実な経営の基礎」って言われても厳しいね。

資金・設備面の課題

通関業でフリーランスになるのが難しい理由は、まずはよく言われているのは、関税、消費税の建て替えをしなければいけないというものです。
関税はない貨物でも、最低消費税である、貨物価格の10%は輸入前に税関に支払わないといけません。

もっとも近年は関税の建て替えをしないことを取引の条件とする通関業者も多いので、近いうちにそれほど問題ではなくなるかもしれません。

しかしたとえ関税の建て替えがなくても、個人で通関業をやる場合いくつかの困難があります。
通関業者は運送業、倉庫業も兼業していることが非常に多いです。
通関の前後には必ず国内運送や保管が伴いますので、顧客は一緒に通関業者にお願いした方が楽だし、効率がよいからです。

運送は軽トラや宅配便で済むような小さな貨物もありますが、コンテナ貨物の場合大型トレーラーが必要です。
大型トレーラーは非常に高価で個人で新規に用意するのは現実的にハードルが高い設備です。

犬くん

通関だけやって、運送や倉庫は外注じゃダメなの?

博士

理屈としては可能じゃが、その形で安定的に運営している例は多くはないのが現実じゃな。

フリーランス通関士の前例が少ない理由

行政書士や司法書士などの士業は、資格取得者のみで業務が完結しやすく、小規模でも運営ノウハウが長年蓄積されています。

一方、通関業者は運輸業、倉庫業と一緒にやっている大企業が多く、また通関手続き自体の手数料は大手とそれ以外で費用差が大きく出にくい場合もあります。

お客さんも費用があまり変わらないのならば、名の知られている大企業に頼んだ方が安心だと思うでしょう。

個人事業主として通関業の許可を得ている例は報告されていますが、あくまで例外的なケースとして扱われています。
実務経験・許可要件・経営基盤の確立など、個別の条件が重なった結果であり、一般的なモデルとは言いにくい状況です。

通関士資格を活かした他のキャリアの選択肢

貿易コンサルタントやフォワーダーとしての活動

フリーランスの通関士になることは難しいですが、通関士資格取得や、通関業者での勤務経験を通して国際貿易や通関手続きに関する専門知識を生かして、フリーランスの貿易コンサルタントやフォワーダーとしてフリーランスになることは可能です。
ただ未経験でも資格取得、独立が可能な他の士業とは違い、実務経験があることが必須です。
独立するための研修などはありませんが、すべて自分で工夫しなければならいません。

また個人事業主ではなく、小希望の法人ならば、通関業をやるのはそれほどめずらしいことではありません。
取引の流れの中で通関機能が必要になり、小規模法人として通関業を行うケースもあります。
小規模の会社を立ち上げ、貿易コンサルタント、フォワーダーとして実績を積み、経営の基礎を築いた後に、通関業の許可を得る方法もあるでしょう。

博士

関税や輸入消費税の建て替えは断り、運送や、保管は外注すれば小規模な会社でも通関業をするのは可能じゃよ。

犬くん

もちろんまず通関業の許可を得ないといけないけれどね。

通関士講師としてのキャリア

フリーランスとして通関士資格を活かす方法として、通関士講師になる方法があります。
これは資金や設備、許可もいらず、フリーランス向けの職業といえます。
実力があれば、積極的に営業をしたり、WEB集客などを通して、フリーランスとしての活躍が可能でしょう。

ただ通関士講師というのは、日本に何十人も必要な職業ではありません。

自分のポジションを築くまでが大変ですし、いつ強力なライバルが現れるかわかりません。
不安定な職業ですので、副業として始めたり、別の事業も並行してやりながらのほうがよいでしょう。

個人輸入

フリーランス向き通関士資格を活かす方法として、個人輸入があります。
良く知られているのは、中国のECサイトから輸入したものを、AMAZONで売る方法です。
小資金から始められてフリーランス向けです。

通関士資格はなくても個人輸入はできますが、やはり知識があったのほうが、スムーズに輸入できるでしょう。これも時代的な背景に左右されることが多く、不安定な稼ぎ方になりますので、副業として始めたり、別の事業も並行してやりながらのほうがよいでしょう。

フリーランスとしてのキャリアを目指す際の資格選び

フリーランスとして活動する際のおすすめ資格

フリーランスという働き方を主目的にする場合、通関士資格が最短ルートになるとは限らない点は理解しておく必要があります。
ではどのような資格がフリーランスかといいますと、一般的には、司法書士、税理士、行政書士、社会保険労務士などがあります。
司法書士や税理士は通関士とは難易度が大きく違いますが、行政書士、社会保険労務士は通関士プラスアルファぐらいの勉強量と一般的に言われています。
フリーランスを主目的にする場合は、通関士以外の資格ルートも含めて比較検討すると整理しやすいでしょう。

資格を取らなくてもフリーランスになれる

資格取得をせず他のことを学ぶことによってフリーランスになる方法があります。
たとえばプログラミングやWEBデザインなどです。
資格取得には通常数年の時間がかかります。
そしていくら資格がなくても仕事がなければフリーランスとして生活はできません。
資格取得の際はよく検討して、自分が本当に資格取得が必要か見極めましょう。

下記の動画ではWEBデザイナーを勉強期間は3か月程度にして早めに仕事を取りに行くように勧めています。
また副業で始めることを勧めています。

Q&A

犬くん

Q: 通関士資格を持っていればフリーランスになれますか?

博士

A: 一般的には、通関業を行うには許可や経営基盤が必要なため、資格だけでフリーランスとして活動するのは簡単ではありません。

犬くん

Q: 通関士資格を活かしてフリーランス的に働く方法はありますか?

博士

A: 制度面から見ると、貿易コンサルタントやフォワーダー、講師などの形で
活かせる可能性はあります。ただし安定性には注意が必要です。

 

通関士試験の勉強方法【まとめ記事】
関連記事
フォーサイト通関士講座のレビュー