はじめに
輸入申告価格の解き方ですが、特に考えずに思いついた順に計算していると、最終桁の数が2,3違ってしまうことがあります。
これはなぜかというと、計算の過程で小数点以下かなりの部分まである数字を扱っているのでそれを途中で切り捨てや切り上げ、四捨五入をしてしまうと最終的な数が合わなくなるからです。
私も苦戦していましたが、試行錯誤しているうちに、必ず正答を出せる計算方法を見つけたのでご紹介したいと思います。
まず掛け算をしてから割り算をする。
加算要素はインボイス価格の価格按分で足す場合とします。
例えば加算要素が3,000$で、申告価格の合計額が70,000$、で品目Aのインボイス価格が2,000$のばあい。通常に考えると下記のような式をつくるでしょう。
加算要素 ÷ インボイス価格の合計額 × 品目Aのインボイス価格 + 品目Aの申告価格
3,000$ ÷ 70,000$ × 2,000$ + 2,000$
これは通関士試験の場合は間違った計算方法です。
こういう計算方法だと正答にくらべて最終桁の数字が数円ずれてしまうことが多いです。
ではどのような式をつくったらよいでしょう?
下記のようにしてください。
加算要素 × 品目Aのインボイス価格 ÷ インボイス価格の合計額 + 品目Aのインボイス価格
3000$ × 2000$ ÷ 70000$ + 2000$
このように、割り算より掛け算を先にするようにしてください。
これはなるべく小数点以下がたくさんある数字を作らないためです。
ただし円への換算は最後に
加算要素 × 品目Aのインボイス価格 ÷ インボイス価格の合計額 + 品目Aのインボイス価格
3000$ × 2000$ ÷ 70000$ + 2000$
先ほどはこのような式を書きましたが、実際は輸入申告書問題の計算はこれで終わりではないですね。
申告書はUSDなどの外国の通貨で書かれていて、円への換算が必要です。
今回は1$=JPY135としましょう。
さきほど、掛け算を先に、というポイントを早速実践してくださる方はこんな計算式をつくるかもしれません。
(加算要素 × 品目Aのインボイス価格 × 為替レート ÷ インボイス価格の合計額)+(品目Aのインボイス価格 × 為替レート)
(3000$ ×2000$ × 135 ÷ 70000$)+(2000$ × 135)
残念ながらこれは間違い。
何故だかわかりませんが、この計算方法だと正答と間違っていることが多いのです。
円換算は最後にしましょう。
通関士試験において、正しい式は下記のようになります。
加算要素 × 品目Aのインボイス価格 ÷ インボイス価格の合計額 + 品目Aのインボイス価格 × 為替レート
3000$ × 2000$ ÷ 70000$ + 2000$
どうしてこうなるかは、わたしはちょっと、わかりませんが、通関士試験は2度も円換算するような面倒なことはさせない方針のようです。
ちなみに円換算までマイナスの数字が出てこない場合は電卓で続けて計算してしまって問題ありません。
(マイナスがある場合は円換算まえに一度 = ボタンを押してそこまでの合計額をだして、その後円換算をしてください。)
一度の式で回答を出すように
通関士試験の輸入申告書問題では、一つの品目の申告価格はできるだけ一度の式で答えをだすようにしましょう。
というのは途中で小数点以下どこまでも続くような数字がでてくるので、いちいちそこで計算を止めて、切り捨て、切り上げ、四捨五入をしていると、最終的な答えが正答から数円ずれたものになってしまうからです。
また計算は一度で済んだ方が早く解答できます。
計算を一度で済ますたすめには、まずどのように計算するかを示す下記のような式を書くことが有効です。
例えば
加算要素が 3000$
インボイス価格の合計額が 70000$
為替レートが1$=135円
の場合は下記のような式を書きます。
3000 × 各品目のインボイス価格 ÷ 70000 + 各品目のインボイス価格 × 135
どうしてインボイス価格の部分だけ具体的な数字を書かなかったかというと、インボイス価格は品目によってかわるからです。
まずこのような式を余白に書いてください。
それからこの式を見ながら、各品目のインボイス価格を当てはめて一品目ずつ計算していきましょう。
加算ではなくて控除の場合はどうする?
加算ではなくて控除の場合はどのようにしたらよいでしょうか?
まずは常識的な考えで式を書いてみます。
控除金額 ÷ インボイス価格の合計額 × 各品目のインボイス価格 =A
(各品目のインボイス価格 - A)× 為替レート = 解答
これが常識的な計算方法ですが、これだと正答から数円ずれた金額が出てしまうと思います。
では以下のような式にしたらよいのでしょうか?
(各品目のインボイス価格 -(控除金額 × 各品目のインボイス価格 ÷ インボイス価格の合計額))× 為替レート
この式では電卓で一気に計算することはできませんね。
いろいろ試行錯誤しましたが、以下の式で正答が出せることがわかりました。
(控除要素(マイナスの数字)× 各品目のインボイス価格 ÷ インボイス価格の合計額 + 各品目のインボイス価格)× 為替レート
例として
控除要素が 3000$
インボイス価格の合計額が 70000$
為替レートが1$=135円
の場合は下記のような式を書きます。
(-3000 × 各品目のインボイス価格 ÷ 70000 + 各品目のインボイス価格)×135
これで正答がでるはずです。
注意点として、加算要素の時は電卓で計算するときは最初から最後まで足し算、掛け算、割り算を順番にしていけばいいのですが、控除要素があるときは為替レートをかけるまえに = ボタンをおして一度そこまでの合計額を出してから為替レートをかけてください。
でないと正答がでません。
少額合算する場合はインボイス価格を合算してから計算しよう
20万円以下は基本有税のものと無税のものを合算して計算しますね。
(EPA税率が適用される場合だと違うわけかたもありますが。)
少額合算して申告価格を出す場合は、少し面倒ですが2回計算しましょう。
1回目の計算は一品目ずつ計算する。
これは20万円以下かどうかを調べるためです。
2回目の計算は、解答の申告価格を計算するための計算
合算するものはインボイス価格を合計してから計算します。
合算だから一品目ごとに申告価格をだしたものをそのまま合計すればいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、これだと正答と数円ずれてしまうことがあります。
ですから合算の場合はそれぞれの品目の申告価格を合計するのではなくて、合算するインボイス価格をすべて合計してから計算しましょう。
例として
例えば加算要素が 3000$
インボイス価格の合計額が 70000$
為替レートが1$=135円
申告価格が20万円以下の品目が2つあるとします。
品目B 999$
品目C 555$
まず下記の式をつかってそれぞれの申告価格をだしてみます。
3000 × 各品目のインボイス価格 ÷ 70000 + 各品目のインボイス価格 × 135
すると品目BとCのインボイス価格は下記の用になります。
品目Bのインボイス価格 999$ 申告価格JPY 140,644
品目Cのインボイス価格 555$ 申告価格 JPY78,136
この場合BとCの合算申告価格は 140,644 + 78,136 = 218,780
ではなくて
3,000 × 1,554 ÷ 70000 + 1,554 × 135 = 218781
が正解です。
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